中耳炎の診察は鼓膜の状態を診ることが出発点です。同じように、アレルギー性鼻炎、鼻副鼻腔炎は鼻腔(びくう)の観察をすることが最も大切ですし、扁桃炎(のどが痛くなって熱が出るなど)や喉頭炎(声がかすれるなど)はそれぞれ扁桃や喉頭を観察することが基本です。
電子内視鏡は、われわれ医師が観察する上でも、また患者さんがご自分の体の状態を知る上でも大変有用です。もう一言付け加えれば、良くなっているのか変わらないのか時間的経過とともに変化していく様子がわかります。
耳鼻咽喉科領域の病変とその変化を、画像を通して、医師が患者さんと共有できるのが最大のメリットです。
当院では平成27年3月、最新のOtoLAM(日本ルミナス製)というCO2レーザー鼓膜開窓装置を使用しています。この装置を用いて鼓膜切開をすることにより、鼓膜切開刀による手術よりも穿孔開存期間を長くすることができます。その結果、閉塞した耳管に代わって穿孔を通して中耳に空気を送ることができ、急性中耳炎の治癒期間を短縮することができます。また、その穿孔を介して鼓膜チューブ留置術を行うこともあります。
一方、この機器を用いて、アレルギー性鼻炎に対する下甲介粘膜切除術を施行することができます。
この検査が最も使用される疾患は副鼻腔炎です。一般に急性鼻副鼻腔炎は病歴聴取と鼻腔の状態の観察を行うことで診断ができます。当院では不要のX線検査は行わないよう心がけています。しかし、重症の鼻副鼻腔炎で穿刺洗浄が必要な場合や長く続く鼻副鼻腔の疾患では、この検査を行います。
その他、中耳炎や聴神経腫瘍を疑う場合には耳のX線検査、肺炎を疑う場合には胸部X線検査を行うことがあります。